当院循環器内科は滋賀県湖南医療圏の循環器疾患における基幹病院として、平成18年病院開設以来「心臓血管・心不全センター」として、心臓の働きが破綻した心不全はもとより、その背景となる虚血性心疾患、高血圧症、心筋症、心臓弁膜症、不整脈疾患、末梢血管疾患診療など、循環器疾患全般について心臓血管外科と共に最新の治療と医療技術で地域医療に貢献しています。日本人の死因の約1/3が心臓血管死であること、75歳以上の高齢者においてはがんよりも心不全による死亡が多いことから「心臓と血管」そして「心不全」を診療の中心にすえて常勤循環器内科医師8名(うち3名が循環器専門医)、非常勤医師1名(循環器専門医)の9名体制で、すべての循環器疾患に対応しております。心臓血管病の予防、診断から、末期病態である心不全に対する国際開発薬による先端治療への取り組み、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症または下肢動脈閉塞に対するカテーテル治療や不整脈に対する心臓カテーテルアブレーション治療、そして心臓リハビリテーションを促し社会復帰を早期に図る包括的な心臓血管診療をスペシャリストが担うことをモットーとし、患者さんの生活の質の向上や生命予後の改善を目指しています。
近年の高齢化社会に伴い心不全症例が増加し続け胃がんの死亡率よりも高い死因となっています。息切れや疲れやすいといったよくある症状が心不全のサインであり、的確な診断と破綻した循環動態を管理し症例に応じた最適な薬物治療を駆使して、ICU管理となる重症例まで幅広く治療にあたっています。またリハビリテーションと連携して心臓リハビリテーションに力をいれており早期離床、社会復帰に貢献しています。
心臓に血液を送る冠動脈という血管がプラーク沈着のため狭くなり心臓の血流低下、機能の悪化をきたす虚血性心疾患においては、特に発症後、早期の死亡率が極めて高い急性心筋梗塞には24時間体制で対応しています。冠動脈ステント留置術、薬剤溶出性バルーン(Drug Coating Balloon)など多様な機器を適切に用いて、症例ごとに心臓血管外科チームによるバイパス外科治療も含めた最適な治療を提供しています。年間約450症例の冠動脈(心臓)カテーテル検査を施行し250症例程度の患者さんがカテーテル治療(冠動脈形成術、ステント留置術)を受けておられます。
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心臓弁膜症、および心筋疾患では従来からの僧房弁狭窄にたいするPTMC(経皮的僧房弁交連切開術)に加えて重度の大動脈弁狭窄に対するブリッジ治療としてPTAV(経皮的大動脈弁形成術)を開始しております。高齢の大動脈弁狭窄患者に対しても低侵襲で行えるため、手術療法やTAVI治療の適応となりにくい症例でも手術可能であり、注目される治療です。閉塞性肥大型心筋症に対するPTSMA(経皮的中隔心筋焼灼術)でも実績を重ねております。もちろん、外科的手術療法が必要な症例に対しては、当院心臓血管外科と緊密に連携しチーム医療で診療にあたっております。
糖尿病患者さんの増加に伴い患者数が増加している末梢血管病変において、特に下肢閉塞性動脈硬化症の治療に注力しています。下肢の壊死を伴うような重症下肢虚血に高い効果があり、下肢切断を回避できる場合も多くあります。心臓血管外科やフットケアチームと連携しながらカテーテル治療を行っており、年間50症例程度の患者さんが治療を受けておられます。
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平成25年度に不整脈外来開設を行い、不整脈に対するカテーテル治療は発作性上室性頻拍の頻拍症からスタートしました。平成26年度からは、脳卒中の原因となる心房細動に対するカテーテルアブレーション(肺静脈隔離術:PV isolation)を開始しております。現在不整脈診療チーム全体の技術向上により心房細動を安定的に治療していくことが可能となっております。年間50症例程度の患者さんが治療を受けておられます。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
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冠動脈造影検査 | 474 | 470 | 408 | 370 |
経皮的冠動脈形成術・ステント留置術 | 196 | 240 | 233 | 256 |
末梢血管インターベンション | 121 | 117 | 117 | 117 |
ペースメーカー移植術 | 29 | 23 | 32 | 28 |
ペースメーカー交換術 | 8 | 15 | 21 | 10 |
アブレーション | 45 | 52 | 49 | 58 |
心筋シンチグラフィ | 301 | 344 | 198 | 245 |
心臓超音波検査 | 5571 | 5696 | 5542 | 5854 |
心臓CT検査 | 522 | 506 | 420 | 426 |
狭心症・心筋梗塞は、併せて虚血性心疾患と呼ばれますが、癌・脳卒中と並ぶ日本人の三大死因の一つで、食事の西洋化、高齢化社会の到来、メタボリックシンドロームの患者さんの増加などを背景として、患者数は増加の一途です。ただし、近年の医療技術の進歩により、カテーテル治療やバイパス手術にて適切に治療を行えば治し得る病気です。
狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈という血管に動脈硬化が生じ、プラーク沈着のため狭くなり血流が障害された結果、胸部圧迫感などの症状が生じる病気です。それが悪化し冠動脈が閉塞してしまうと心筋梗塞となり、命に関わる状態になりかねない病気です。
発症後、早期の死亡率が極めて高い急性心筋梗塞には24時間体制で対応しています。冠動脈ステント留置術、薬剤溶出性バルーン(Drug Coating Balloon)など多様な機器を適切に用いて、症例ごとに心臓血管外科チームによるバイパス外科治療も含めた最適な治療を提供しています。
胸が締め付けられるような症状をお持ちの方、糖尿病や脂質異常症のような狭心症・心筋梗塞の危険因子をお持ちの方は、早めの精査をお勧めいたします。お気軽に受診ください。
冠動脈のプラーク※をカッターで切除し、内腔を拡大する治療です。従来の金属ステントを使わず、良好な血管拡張が得られます。カッター部分にあるウィンドウをプラークに押し当て、高速回転するカッターでプラーク削り取っていきます。その削ったプラークは左側のスペースに収納され、カテーテルと共に体外へ回収する構造となっています。
※粥腫(じゅくしゅ):血管の内膜面にコレステロールが沈着して塊となっている状態です。お粥のような柔らかい塊になるので、粥腫とよばれます。プラーク、アテロームなどともよばれます。
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Rotational Coronary Atherectomy(ロータブレーター)
先端にダイヤモンドがついたバーを高速回転させることにより、通常のバルーンでは拡張困難な高度石灰化病変を破砕して、血管の拡張を行います。
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カテーテル治療はバルーン、ステントなどにて拡張を行う前に、ガイドワイヤーと呼ばれる針金で病変を通り越して通過させる必要があります。しかし、動脈が完全に閉塞し時間が経過した慢性完全閉塞病変ではガイドワイヤーを通過させるのが難しい場合があります。その際には、血管内超音波を駆使したり、側副血行路を介した逆行性のアプローチが有効です。
当院の狭心症外来では、狭心症・心筋梗塞の患者さんに最新のデバイスと高度な技術で、最適な治療をご提供いたします。
こんな症状はありませんか?
それ、もしかしたら肺高血圧症かもしれません!
肺高血圧症は心臓から肺に血液を送る肺動脈という血管が何らかの原因で狭くなって、血液が流れにくくなり、肺動脈の血圧が高くなる状態が続く病気です。肺動脈の血圧が高い状態が続くと、肺に血液を送る心臓の右側に負荷がかかり、拡がったままで元に戻らなくなります。さらに病気が進行すると心臓の右側の機能が低下し、全身の血液の流れに障害がでてきます。この病気は診断と治療が難しく、国から一部が難病に指定されています。以前は根治するためには「肺移植」しかありませんでしたが、最近では新薬の開発が進み、内科治療による延命の可能性が出てきました。
肺高血圧症には原因によって5つに分類されています。
肺高血圧症は病気の進行とともに症状が現れます。
自覚症状として多いのが動いたときの息切れ、疲労感や倦怠感、顔・足のむくみなどです。病気が進行して心臓の機能が低下すると、呼吸困難やたちくらみ、失神を起こしたりするようになります。
肺高血圧症と診断されるまでには、いくつかの検査が行われます。
また、診断された後も、どのような治療を行うかを決定したり、経過を確認するため、同様の検査を繰り返し行うことがあります。
肺高血圧症と診断された患者さんは、症状を悪化させないよう過度の運動や労作を避け、風邪などの感染症予防や避妊など、日常生活にも注意を払いながら治療を行います。
治療は肺の血管を拡げる肺高血圧症治療薬による治療を行います。最大3種類の薬を併用することもあります。また、病気に伴って現れる症状を予防、軽減するための治療があります。
薬物療法で効果が現れない場合は肺移植を行います。
肺高血圧症は厚生労働省により難病や小児慢性特定疾病の指定を受けていますので、さまざまな医療費助成制度が適応されます。どの制度が適応されるかは、疾患の種類や障害の度合いによって異なりますので、主治医やソーシャルワーカ-にご相談ください。
〈主な助成制度〉
名前(フリガナ) | 和田 厚幸(ワダ アツユキ) |
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役職 | 心臓血管・心不全センター センター長 |
専門分野 |
心不全 高血圧 虚血性心疾患 肺高血圧症 |
学会専門医・認定医 |
日本内科学会総合内科専門医・近畿支部評議員 |
名前(フリガナ) | 岡田 正治(オカダ マサハル) |
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役職 | 統括部長 |
専門分野 | 冠動脈カテ―テル治療 |
学会専門医・認定医 |
日本内科学会総合内科専門医 |
名前(フリガナ) | 八木 崇文(ヤギ タカフミ) |
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役職 | 部長 |
専門分野 | カテーテル治療 |
学会専門医・認定医 | 日本心血管インターベンション治療学会指導医 |
名前(フリガナ) | 松本 武洋(マツモト タケヒロ) |
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役職 | 副部長 |
専門分野 | 心不全 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会 日本循環器学会 日本心不全学会会員 |
名前(フリガナ) | 岸森 健文(キシモリ タケフミ) |
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役職 |
医長 |
専門分野 | 心不全 冠動脈カテーテル治療 循環器救急(Mobile CCU) |
学会専門医・認定医 |
日本内科学会認定内科医 |
名前(フリガナ) | 岩﨑 義弘(イワサキ ヨシヒロ) |
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役職 | 医長 |
専門分野 | 下肢血管内治療 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会認定内科医 日本循環器学会循環器専門医 日本心血管インターベンション治療学会認定医 |
名前(フリガナ) | 小池 淳平(コイケ ジュンペイ) |
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役職 | 医長 |
専門分野 | |
学会専門医・認定医 | 日本循環器学会循環器専門医 日本心血管インターベンション治療学会認定医・専門医 日本内科学会認定内科医 |
名前(フリガナ) | 山地 亮輔(ヤマジ リョウスケ) |
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役職 | 医員 |
専門分野 | |
学会専門医・認定医 | 緩和ケア研修修了 |
名前(フリガナ) | 谷 陽良(タニ アキラ) |
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役職 | 専攻医 |
専門分野 | |
学会専門医・認定医 |
名前(フリガナ) | 八尾 武憲(ヤオ タケノリ) |
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役職 | 非常勤 (大阪経済大学 人間科学部 教授) |
専門分野 | 不整脈(カテーテル治療、デバイス手術) |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会循環器専門医 日本不整脈心電学会認定不整脈専門医 |
5エリア | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 2診 | 岡田 | 八尾 <不整脈> |
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3診 | 八木 | 松本 | 岩﨑 <下肢救済外来> ※10/16休診 |
松本 | 山地 |
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4診 |
和田 |
原 |
岸森 |
和田 ※10/3予約のみ |
小池 |
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6診 |
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7診 |
八木 |
中川(第1・3・5週) 谷(第2・4週) |
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午後 | 2診 | 岡田 <狭心症外来> |
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3・5・6・7診 | 岩﨑 <下肢救済外来> |
ペースメーカー外来 (第1・3週予約のみ) |
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4診 | 岸森 (予約のみ) |