早期食道がん、早期胃がん、早期大腸がんに対し、内視鏡的粘膜切除、内視鏡的粘膜下剥離術により、内視鏡的に切除します。また前がん病変の胃線種、大腸線種に対し、同様の手技にて発がん予防を行なっています。
進行食道がん、進行胃がん、進行大腸がんに対し、経口摂取のため、排便のため、また、悪性胆管狭窄に対し、胆管ステントを挿入することにより、黄疸を軽減し、QOLを向上させます。
進行した胃がんや大腸がんでは、ガイドラインに沿った開腹手術を選択します。
当院の特徴は、腹膜播種を伴う進行したがんでも切除可能と判断すれば、腹膜切除と化学療法という積極的な治療法を取り入れていることです。
とくに、腹膜偽粘液腫や大腸がん腹膜播種の5年生存率はそれぞれ20~50%と5~10%以下と報告されていますが、腹膜切除を用いた当院での治療法による5年生存率はそれぞれの疾患で85%と45%と、通常の治療法では得られない良好な成績を上げています。
腹腔鏡(ふくくうきょう)手術、Laparoscopic Surgeryは小さな傷で、痛みが少なく、入院期間が短いなど、患者さんにとってメリットのとても多い手術です。近年の器械と技術の進歩により腹腔鏡で手術できる病気は大幅に増加していて、我が国でも年々盛んになっています。ただ、新聞等で報道されているように、腹腔鏡特有の合併症もあるのは事実です。
しかし、この淡海医療センターでは、2005年に新病院に移転する以前から、外科を中心に腹腔鏡手術を多く手掛けており、新病院に移転してからは、産婦人科、一般・消化器外科など、多くの外科系手術を腹腔鏡で行っており、安全な術式のための工夫を重ねてきました。
最近は4cmの傷1か所と1-2cmの傷2か所で、カメラを挿入しテレビモニターで胸腔内を観察しながら行う胸腔鏡下手術が多く行われるようになってきました。
当院でも胸腔鏡下手術を導入しています。傷の痛みが最小限で体への負担も少ないため、手術翌日から歩行や食事も可能で、術後1週間以内での退院も可能です。
髄膜腫をはじめとする良性腫瘍や転移性脳腫瘍、グリオーマなどの悪性腫瘍に対して開頭による顕微鏡下の摘出術を行っています。腫瘍の部位や種類によって、蛍光色素による発色法を用いてより鮮明に腫瘍部位を区別したり、手術の安全性の確保のための術中モニタリングを併用することもあります。
下垂体部腫瘍に対して経鼻的な手術を行っています。最近は内視鏡を併用しておこなうことが多くなっています。
悪性リンパ腫などの主に深部に存在する腫瘍に対しては定位脳手術装置を用いて生検術を行っています。
主に脳室内の腫瘍に対して内視鏡を用いた手術(生検)や併発する水頭症にたいして第3脳室開窓術を行っています。
手術治療だけでなく、術後の放射線化学療法も積極的に行っています。悪性リンパ腫に対するメソトレキセート大量療法、グリオーマに対するテモダール、アバスチンを組み合わせた治療、再発腫瘍に対しても2次、3次の化学療法を準備しています。
口腔や咽頭、喉頭といった我々が主に治療の対象としている部位は、息をする、声を出す、飲み込むなど、生活に直結した重要な器官が集中しています。頭頸部がんは、全てのがんに占める割合は5%程度と頻度は低いですが、多くの部位に様々な種類のがんができることが特徴です。口唇・口腔がん(舌がんが最も多い)、咽頭がん、喉頭がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がん、頸部食道がんなどがあります。
頭頸部がんの治療にあったて、がんを治すことは重要ですが、同時にいかにこれらの機能を残す(機能温存や再建)が、もう一つの大きな課題です。近年、抗がん薬の開発や放射線治療機器の進歩により、手術療法と並び、化学放射線治療が頭頸部がん治療の柱となっています。
化学放射線療法は、長期的にはかなりの機能障害が生じますが、機能温存治療の中心になっています。しかし、治療が奏功しない場合や再発した場合には、手術療法が必要となります。頭頸部がん治療を行っていても、実際には手術療法が得意でない施設も多くあります。
我々は、頭頸部がん治療の2つの柱である手術療法と放射線療法に精通しています。再発腫瘍に対しても、積極的に手術を、可能なら機能温存手術も行っています。
当施設で行っている頭頸部がん治療の特徴は、満足な日常生活を送る上で必要な機能の温存や再建を積極的に行ない、良好な治療成績をあげています。
がんの放射線治療法は、がん部位を正確にとらえる画像診断装置(例えばCT・PET・MRI)の進歩に加え、そのがん組織に限局して放射線を照射する放射線治療装置により、近年極めて注目されています。
治療周辺の正常組織・臓器の機能形態を温存することができる放射線治療は、手術と比較して治療後のQOL(Quality of life:生活の質)が極めて良好です。
当院では各科と連携し、PET-CTやMRI装置とともにがん診療を行う体制を整えています。
放射線治療医師が診察を行い、治療方針・治療開始日を決めます
治療計画用の画像を撮影し、皮膚へのマーキング・固定具を作成します
CT画像から治療計画装置で実際に照射する範囲などを決定します
1回の治療は15分程度ですが、実際の照射時間は数分です
※外来通院で治療が可能な場合もあります。治療開始前に、主治医や放射線治療医と十分にご相談ください
薬物療法(化学療法)には抗がん剤、ホルモン療法、免疫療法があります。がんの化学療法をおこなうことで、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させる効果があります。手術後にがんが再発しないように、またがんの症状をやわらげ、患者さんそれぞれが自分らしい生活を送れるように、化学療法をおこないます。
副作用は、抗がん剤の種類や量などの違いや個人差もあります。吐き気や脱毛のほかに、アレルギー様症状、骨髄抑制、皮膚障害、末梢神経障害、肝・腎機能障害、間質性肺炎、免疫関連の副作用などがあります。
最近は、副作用を予防したり、和らげる治療も進歩し、特に吐き気を抑制する治療は非常に高い効果が得られます。
副作用は早期に発見して対処することが大切です。
つらい症状は我慢せずに早めにお伝えください。
(☎ 外来化学療法室、外来診察室、かかりつけの調剤薬局など相談しやすいところで結構です)
外来化学療法室では、治療が始まる患者さんに、治療の流れについてのオリエンテーションをおこないます。
治療スケジュールや副作用(症状・対処方法)について薬剤師が詳しくご説明します。地域の調剤薬局とも連携をして治療のサポートをおこないます。
化学療法中の食事については栄養士がアドバイスをおこないます。
点滴治療中はベッドやリクライニングチェアでテレビのご視聴も可能となっています。また、軽食を摂っていただくことは自由です。
ご家族のかたに付き添っていただくこともできます(お子様はご遠慮いただいております)。
どうぞリラックスしてお過ごしください。
リクライニングチェア 3台
ベッド 6台
オリエンテーションでは、
「化学療法を受けられる方へ」
「私の治療ダイアリー」をお渡ししています
当院は平成22年10月1日付で、滋賀県知事より『滋賀県地域がん診療連携支援病院』の指定を受けました。『滋賀県地域がん診療連携支援病院』とは、滋賀県がん対策推進計画に基づき、地域がん診療連携拠点病院に準ずる機能を有する病院として、既に国から指定を受けているがん診療連携拠点病院と連携し、がん治療の中核的役割を担います。
病気になると、体のこと、気持ちのこと、生活のことなど、さまざまな心配事が出てきます。がん相談窓口では、患者さんやご家族、皆さまの困りごとや不安やお悩みを伺い、一緒に考えさせていただきます。相談内容の秘密は厳守いたしますので、安心してご相談ください。
個室での面談(予約制・1時間以内)
電話でのご相談は原則受け付けておりません。
無料
がん患者さんやご家族、地域の方々など当院受診の有無に関わらずどなたでもご相談いただけます。
がんの専門・認定資格をもつ看護師、医療福祉相談担当
ご相談内容に応じて院内のスタッフや他の病院スタッフと連携を取らせていただきます。
相談以外にも以下のようなご利用もできます。
3階がんサロン
1階患者総合支援センター