副鼻腔炎(蓄膿症)
丁寧に
分かりやすく
説明いたします
こんな症状でお悩みではありませんか?
□ 鼻づまりが続いている
□ 黄色い鼻水が出る
□ 変な匂いがする
□ 匂い(味)が分かりにくい
□ 咳や痰が続く
□ 目の奥や頬が痛い
□ 頭が重い・頭が痛い
当てはまる症状の方は、もしかしたら慢性副鼻腔炎(ちくのう症)かも知れません。
※副鼻腔炎は、俗に言う蓄膿(ちくのう)症です。
『副鼻腔炎は治りにくいもの』 そんな印象をお持ちの方がいらっしゃるかも知れません。
しかし副鼻腔炎にも色々な種類があり、治療をしなくても自然に治っていくものや、薬物療法で治るもの、手術をした方がよいものまで様々です。
例えば軽度の急性副鼻腔炎は、何も治療をしなくても10日以内に70%の人が良くなると言われています。
一方で失明・脳膿瘍のリスクを伴う重症の急性副鼻腔炎は緊急手術が必要です。
また慢性的な副鼻腔炎と思っていたら悪性腫瘍が見つかるような怖い場合もありますので、症状が重い場合・ずっと続いている場合は注意が必要です。
このページは主に『副鼻腔炎(ちくのう症)という病気について』と検査・治療法を説明しています。
Q&A
1.副鼻腔について
2.急性副鼻腔炎について
3.慢性副鼻腔炎について
1.副鼻腔について
副鼻腔はどういうものなの?
簡単にいうと
鼻の中にある『洞穴』です。
洞穴は『自然孔』と呼ばれる『狭い出入り口』で鼻の中の空気の通り道に繋がっています。
『自然孔』はとても狭いので、風邪やアレルギーで粘膜が腫れると塞がってしまうことがあります。
2.急性副鼻腔炎について
慢性って言うけど、急性もあるの?
ございます。
急性副鼻腔炎は症状が出てから4週間以内のもの、慢性副鼻腔炎は症状が3ヶ月以上続くものです。
どんな症状が、どういう理由で起こるの?
前述のように副鼻腔は簡単にいうと、鼻の中にある『洞穴』です。
急性副鼻腔炎は『風邪』や『アレルギー』で鼻の中が炎症を起こし粘膜が腫れ、『洞穴』の出入り口が腫れた粘膜で詰まってしまうと
『洞穴』の中の雑菌が繁殖したり、
『洞穴』の中の炎症が酷くなります。
そして下記のような症状が出てきます(人・炎症部位によって、症状の出方は異なります)
- 膿の鼻水 → 黄色い鼻汁
- 膿の鼻汁が咽にたれる → 痰・咳
- 洞穴に膿 → 変な匂い
- 洞穴の炎症 → 頭痛・頬の痛み・目の奥の痛み
- 鼻の粘膜が腫れる・鼻汁が増える → 鼻が詰まる・匂いがわかりにくい・味がわかりにくい
急性副鼻腔炎はどうやって直すの?
鼻汁と顔面痛、頭痛と鼻腔内の状態によって軽症・中等症・重症を判断します。
軽症のものは、何も治療をしなくても(抗菌薬を使わなくても)10日程度で70%の人が治ります。
軽症の急性副鼻腔炎の場合は、基本的に抗菌薬の投与は行わず対症療法(点鼻噴霧ステロイド薬など)で経過観察を行います。
症状が強い方や10日以上症状が続く場合は、抗菌薬を5日~10日投与行います。
手術が必要な急性副鼻腔炎はどういうものなの?
重症な副鼻腔炎はどう違うの?
目が痛い・目がかすむ・見えにくい、38.5℃以上の熱が出ている場合、酷い頭痛がする場合、痛い部分(目の周りや頬・おでこの皮膚)が赤くなった場合は
重症副鼻腔炎を疑います。
特に眼の症状が強い場合は治療が遅れると
視力低下や失明のリスクがあります。
ひどい頭痛も注意が必要です。
最近は抗菌薬の進歩のため減ってきていますが、副鼻腔炎が
脳に波及して膿をためてしまうこともあります。すぐに医療機関にご相談ください。
□ 目がひどく痛む、目がかすむ、見えにくい
□ 38.5℃の発熱が続く
□ ひどい頭痛が続く
□ 痛いところの皮膚が赤くなっている(頬・目の周り・おでこ等)
3.慢性副鼻腔炎について
慢性副鼻腔炎って何?
副鼻腔(鼻の中の洞穴)に炎症が持続している状態です。
洞穴の中に膿がたまり続けることが良くあるため『蓄膿(ちくのう)症』とも呼ばれます。
慢性副鼻腔炎の症状は?
以下のような症状が持続します。炎症の部位によって症状が異なるため、人によっては出てこない症状もあります。
□ 鼻づまりが続いている
□ 黄色い鼻水が出る
□ 変な匂いがする
□ 匂い(味)が分かりにくい
□ 咳や痰が続く
□ 目の奥や頬が痛い
□ 頭が重い・頭が痛い
どうして慢性副鼻腔炎になるの?
急性副鼻腔炎を
くり返していると慢性化しやすくなります。
鼻の中の粘膜は換気扇のように膿などの汚れを外に外に出してくれる作用があるのですが、何度も炎症をくり返すうちに、汚れを出す機能が弱くなってしまいます。
そのため鼻の中に膿が残り、その膿がさらに炎症を悪化させ、膿が増えるという悪循環を起こします。
また鼻の中の炎症は、ポリープという粘膜の出っ張りを作ることがあります。
この出っ張りのせいで、洞穴が塞がってしまうため炎症が滞り、さらに副鼻腔炎の悪循環を進めます。
検査はどんなことをするの?
①内視鏡検査 と ②CT検査が重要です。
①内視鏡検査
鼻内の状態(膿性鼻汁やポリープの有無)を確認するために、細い内視鏡で鼻の中を観察します。
鼻内に麻酔を行ってから、胃カメラと比べるとずっと細い内視鏡を用いますので、痛みは軽度です。内視鏡検査は3分以内に終わることが殆どです。
殆どの場合で痛みは軽度なのですが、人によっては鼻腔内が狭く痛みが強く出ることがあります。
そのような痛みが強くてしんどい場合は、相談しながら麻酔の追加など痛みを和らげる処置を行います。
当院では痛い状態で無理矢理検査を続けるようなことはありません。
②CT検査
副鼻腔(鼻の中の洞穴)は入り口が狭いため、通常は内視鏡では観察できません。
副鼻腔内の状態を確認するためにCTを撮影します。
腫瘍が疑われる場合はMRIを併用し、生検を行うこともあります。
どんな治療を行うの?
慢性副鼻腔炎は少量長期マクロライド投与療法と呼ばれる内服治療を行います。
2-3ヶ月間『鼻内の環境を整える目的の抗菌薬』を内服します。
慢性副鼻腔炎の約半分はこの治療によって改善します。
状態に合わせて、去痰薬や点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を併用します。
手術はどんなときに行うの?
薬物療法を2-3ヶ月程度行い改善がみられない場合や、CTで特殊な陰影(真菌性副鼻腔炎が疑われる場合)に行います。
どんな手術なの?顔を切ったり、口を切ったりするの?
鼻から入れる内視鏡で手術を行いますので、顔や口を切ることはありません。
手術はどのくらい入院しないといけないの?日帰り手術はできないの?
全身麻酔、局所麻酔にかかわらず
極力短期の入院になるようにしています。
入院日数としては
3~6日程度をオススメしています。 日帰り手術の場合、手術当日に帰宅になるため、手術後の心理的な不安感から夜間に外来受診される方も多くみられます。
短期入院により切な安静が得られ、手術後の合併症を防ぐことに繋がることに加えて、患者さんの安心感のためにも数日間の入院を勧めています。
入院期間は『疾患の状態』と『ご都合』に合わせて決定いたしますので、ご相談ください。
ご高齢の場合や、治療中の他の病気がある場合には、安全に治療を行うために入院期間が若干延長することがあります。
入院費用はどのくらいかかるの?
通常3割負担で13~30万円程ですが、高額療養費制度/高額医療費制度(限度額適用認定証)を利用していただけます。
ただし、食事代、差額ベッド代は別途必要です。(2020年4月時点)
申請手続きはこちらをご覧ください。
術後は通わないといけないの?
数回受診が必要です。
慢性副鼻腔炎をほっておくとどうなるの?
鼻内の持続的な炎症や膿が残っていることによって、鼻内の環境がどんどん悪くなり症状が悪化する可能性があります。
鼻内の持続的な炎症は『炎症の急性増悪に伴う重症化』や『癌化』のリスクがあるので治療をお勧めしています。