通常、私たちの心臓は1分間に50~100回、比較的正しくうっていますが、正常でないうち方をしている脈を「不整脈」と言います。
不整脈では、拍動が不規則になったり、ずいぶん遅くなったりすることがあります。また、規則正しく、速すぎもせず遅すぎもしない不整脈もあります。
心房細動は治療が必要な不整脈のひとつであり、年齢が進むにつれ多く見られるようになります。心房細動は、はじめ短い発作として現れ、発作を繰り返しながら頻度と持続時間が増え、最終的には心房細動の状態で固定してしまい、正常な脈に戻らなくなります。これは数年から十数年、あるいはもっと長い時間をかけて移行すると言われます。乱れた速い脈を非常に不快に感じる人もいれば、全く自覚のない人もおり、症状は様々ですが、症状があると日常生活の妨げになることは間違いありません。

心臓のポンプの働きが足りないことを「心不全」と言いますが、心房細動が原因で心不全を引き起こすことがあります。どれくらいの時間、心房細動が続くと、心臓のポンプ機能に影響が出てくるのかは人によって様々であり、今大丈夫だからと言って将来的に心不全にならないとは言えません。もうひとつの問題が心房細動による「脳梗塞」で、全ての脳梗塞の20~30%を占めています。しかも、重度の後遺症が残る脳梗塞を起こしやすいとされています。また、心房細動の人は認知症および認知機能低下のリスクが高いことも分かっています。
あまりに脈が速すぎるため血圧が下がってしまうような場合には、まず血圧を安定させるため、注射や点滴で脈を遅くする治療を行います。場合によっては電気ショックが必要なこともあります。次に脳梗塞を予防するため、抗凝固薬(いわゆる“血をサラサラにする薬”)をのみます。ただし抗凝固薬には出血の危険性があるので、その危険性が高い場合はのまないこともあります。


不整脈のカテーテル治療を「アブレーション」と言います。心房細動のアブレーションでは、足の付け根や首、肩の血管内に細い管(カテーテル)を挿入し、心電図を見ながら、心房細動の原因となっている部位や、心房細動を持続させる要因となる部位を焼灼(しょうしゃく)します。この際、当院ではレントゲンによる投透視と併せ、3Dマッピングシステムを用いた三次元イメージ下に治療を行っています。
3Dマッピングシステムで治療部位を正確に確認
モニターで心電図を確認する様子薬による治療しかなかった頃は、正常な脈を維持する治療を行っていも、心不全や脳梗塞が減ることはありませんでしたが、アブレーションによる治療で心不全や脳梗塞のリスクを低下させる効果が分かってきています。
当院では、正常な脈を維持できると期待できる可能性がある方には、身体への負担が少ないアブレーション治療を積極的に提案しています。一方で、正常な脈に戻すことが難しい場合には、脈の速さや血栓リスクをコントロールし症状を軽減するとともに、今後の心臓のポンプ機能低下をできるだけ防ぐ治療を行っています。お気軽にご相談ください。