
ロボット支援手術とは、医師が操作するロボットアームを用いて行う手術方法で、医師の手の動きを精密に再現できるよう設計されたシステムを使用します。
ロボットが自動で手術を行うものではなく、すべての操作は医師が行います。
当院では、米国インテュイティブサージカル社が開発した手術支援ロボット「ダビンチ Xi」を導入しています。
ダビンチチシステムは世界各国の医療機関で導入されており、国内でも多数の医療機関で使用されています。
当院で導入している「ダビンチ Xi」は、第4世代にあたる機種です。
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ビジョンカート | サージョンコンソール |
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| 3本の鉗子アームとカメラアームの計4本で構成されています。医師の操作により動作します。 | 手術映像を処理し、スタッフが共有できるようにしたモニタリング装置です。 | 術者が座って操作する装置で、医師が手・足・視覚を使ってロボットを操作します。 |
小さな切開で行われるため、一般的に腹腔鏡手術と同様の低侵襲性があるとされています。
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医師が3D映像を見ながら操作できる仕組みを備えています。

ロボット鉗子は可動域が広く、繊細な操作が可能です。

※以上は一般的な特徴であり、手術の効果や結果を保証するものではありません。
当院の産婦人科では、体への負担に配慮した腹腔鏡手術や子宮鏡手術をこれまで数多く行ってきました。
年間では500例以上の手術に対応しており、その経験をふまえて、ロボット支援手術も治療の選択肢として導入しています。
ロボット支援手術の導入から3年間が経過し、当院でも婦人科領域で多くの症例に対応してきました。
その中で、ロボット特有の立体的な視野や鉗子の広い可動域が、細かな操作を行う際に役立つ場面があり、こうした特徴を活かしながら手術に取り組んでいます。
また、器具の動きが安定する仕組みがあるため、創部が大きく動きにくい点も特長のひとつです。
腹腔鏡手術を長く担当してきた経験からも、ロボット支援手術の操作に大きな違和感はなく、患者さんの状態を踏まえたうえで、適切な手術方法を選択しています。

2022年11月より腎がんに対してロボット支援腹腔鏡下腎全摘除術、前立腺がんに対してロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を導入しました。その後順次腎がんに対する腎部分切除術、腎尿管がんに対する腎尿管全摘除術、腎盂尿管移行部狭窄症に対する腎盂形成術、膀胱がんに対する膀胱全摘除術および各種尿路変向術、骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術を導入し現在に至っています。
当科ではロボット支援手術の経験が豊富(約800例)な泌尿器科医を中心に資格を有する4人のスタッフが担当しています。2025年12月現在150件のロボット支援手術を施行しましたが、大きな合併症なく順調にロボット支援手術が行われています。
現在導入したロボット支援手術については引き続き制癌性と術後の機能温存の両立を目指した手術を提供いたします。ロボット手術の経験が豊富な泌尿器科チームが担当することで、標準的なロボット支援手術をまずは体に優しい安全な手術、かつ制癌性や機能温存にもこだわった手術を提供します。

当院の消化器外科では、2023年12月よりロボット支援手術を導入しました。もともと多くの疾患に対して腹腔鏡下手術を行ってきましたが、ロボットの導入により体腔の奥深く狭い部分でより精緻な手術を安定して行うことが可能となりました。消化器外科領域では臓器や血管・神経が複雑に入り組んでおり、狭い空間での繊細な操作を要することがしばしばあります。手術支援ロボット(da Vinci)は、3Dハイビジョン画像・ロボット手術鉗子の多関節機能による多方向への可動性・ブレの無い安定性により、狭く奥深い空間での緻密な手術を可能としています。現在、消化器外科領域では、悪性疾患(がん)の手術にのみ健康保険が適応されます。
2023年12月に導入し、以降症例を積み重ね大腸直腸のすべての領域に対してロボット支援手術を行っています。手術枠に限りがあるためロボットの有用性がより高い直腸癌を優先的にロボット支援手術の対象としていますが、この度ダビンチが2台体制となるため直腸癌患者さん以外にも適応の拡大が見込まれます。
2024年6月より、胃癌に対してもロボット支援手術を導入しました。当院では幽門側胃切除・噴門側胃切除・胃全摘術いずれにも行うことが出来ます。手術枠に限りがあるため一部の患者さんにのみロボット支援手術を行ってきましたが、ダビンチ2台体制により適応できる患者さんの増加が見込まれます。
当院は、2025年1月より食道外科専門医準認定施設に認定され、さらに同年10月に滋賀県では初となる、食道癌に対するダビンチを用いたロボット支援鏡視下食道切除術を導入しました。ロボット導入以前より胸腔鏡を用いた食道切除術を安定して行っており、今後はロボット支援手術が増加していく見込みです。

ロボット支援手術手術の導入により、さらに緻密で精度の高い、かつ安全な手術を提供してまいります。

2025年12月、手術支援ロボット「ダビンチ Xi」を2台体制で運用できるようになりました。
同一施設で2台のダビンチを導入・運用するのは、滋賀県では当院が初めてとなります(2025年12月17日時点)。
2022年の導入以降、婦人科・泌尿器科・消化器外科を中心に症例が増え、より効率的で安定した運用が求められるようになりました。2台体制により、複数の診療科が同じ日にロボット支援手術を行いやすくなり、手術スケジュールの柔軟化や待機期間の短縮につながる可能性があります。これは、治療計画を立てる患者さんにとって大きな安心材料となります。
また、医師や看護師、技術スタッフがロボット手術に関わる機会が増えることで、院内でのスキルや知識の共有が進み、安全性に配慮した運用がさらに安定します。
今後も、複数診療科と連携しながら患者さんそれぞれの状況に応じた治療方法を丁寧に検討し、安全に配慮したロボット支援手術の提供を進めてまいります。
ロボット支援手術が適しているかどうかは、疾患の種類や状態によって異なります。
外来で医師が診察し、適応を判断します。
ロボット支援手術についてご質問やご希望がある場合は、外来でお気軽にご相談ください。
【注意事項】
※手術の効果や回復には個人差があります。
※すべての方がロボット支援手術の対象となるわけではありません。
※診断・治療方法は医師が診察のうえ決定します。
※本ページの内容は治療法の紹介であり、治療効果を保証するものではありません。