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頭頸部外科・甲状腺外科・
耳鼻咽喉科

甲状腺の病気

こんな症状でお悩みではありませんか?

□ 首の前部の腫れやしこり
□ 動悸・息切れ
□ 全身の倦怠感
□ 手指の細かい震え
□ よく食べているのに、体重が減ってきた
□ 暑がりになり、水をたくさん飲んで、汗がよく出る
□ イライラしやすくなった
□ まぶたや顔が腫れる
□ 皮膚が乾燥しカサカサに荒れてしまう
□ 足のむくみ
□ 集中力の低下
□ 寒気

当てはまる症状の方は、もしかしたら甲状腺の病気がみつかるかもしれません。

甲状腺の病気には、バセドウ病や橋本病に代表される「ホルモン分泌に異常をきたすもの」や癌や腺腫といった「できもの」もあります。

このページでは、「甲状腺の役割」「甲状腺の病気」「どうやって検査・治療を行うのか」という内容をわかりやすくQ&A方式で説明します。

Q&A

1.甲状腺について

2.甲状腺の病気と治療方法

3.手術について

 

1.甲状腺について

そもそも甲状腺って何?

甲状腺は首の前部、喉仏のすぐ下に気管を抱き込むようにして位置しています。
大きさは4cm、重さは20g程度の薄く柔らかい臓器です。

どんな働きをするの?

ヨウ素を原材料にして、甲状腺ホルモンを生成・貯蔵しています。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促進したり、胎児や小児の成長に重要な役割を果たしています。

生まれたての赤ちゃんは、甲状腺ホルモンが足りないと大変!
必ず血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べます
(新生児スクリーニング)

甲状腺ホルモンの調節とは?

甲状腺ホルモンは分泌が多すぎても、少なすぎても体に不調を起こします。
このためホルモンの分泌を一定に保つような調節機能があります。

甲状腺の検査は何をするの?

様々な検査を組み合わせて行います。
血液検査 甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、サイログロブリン等を測定します。
超音波検査 身体に負担がない安全な検査です。
ゼリーを塗った機械を首に当て、甲状腺の大きさや腫瘍を観察します。
細胞診 甲状腺に細い針を刺して、細胞を抜き取ります。
超音波検査を併用して行います。
首に針を刺すと言うと、ビックリされますが『超音波で安全を確認』しながら『細い針』で行う 比較的安全性の高い検査です。
実際に細胞を取ってくる『この検査:穿刺吸引細胞診』は大変有能な検査です。(外来で行うことが出来、入院の必要はありません。年間何百人も受けています。)
シンチグラフィー 放射性同位元素を含む薬を投与し、その放射線を検出することで、甲状腺の活動の程度やがんの転移部位を調べます。
CT・MRI 放射線や電磁気の力を使って、甲状腺の大きさや腫瘍、病気の広がりを調べます。

2.甲状腺の病気と治療方法

甲状腺の病気はどんなものがある?

「甲状腺機能異常」と「甲状腺腫瘍」の2つに大きく分けられます。

甲状腺機能亢進症とは?

血液中の甲状腺ホルモンが過剰になることで、様々な症状が出現します。
代表的な原因に、バセドウ病亜急性甲状腺炎があります。
主な症状
甲状腺ホルモンが過剰になり、新陳代謝が異常に高くなります。
そのため、暑がりになったり、食欲亢進体重減少多汗などの症状が現れます。
また、内臓の働きも活発になり、動悸下痢が起こることがあります。
その他にも、手足の震え全身の倦怠感などが現れることもあります。

バセドウ病

バセドウ病とは?

免疫システムの異常による自己免疫性疾患の一つです。
甲状腺を刺激する自己抗体によって、甲状腺が刺激され甲状腺ホルモンが過剰に産生されます。
女性に多く、特に30~40歳代の方に多く発症します。複数の原因が関与して発症すると考えられており、遺伝的な要因も関与しているともいわれています。
すごくいっぱい食べるのに全然太らなかったりすることもあるよ

症状

代表的な症状は『メルゼブルグの三徴』といわれています。
甲状腺腫 眼球突出 頻脈
3つとも症状が出現する場合も、しない場合もあります。
その他、上記に記載した甲状腺機能亢進症の症状が現れます。

診断

まずは血液検査と超音波検査で調べましょう。
血液検査で血液中の甲状腺ホルモン値自己抗体の値を調べます。
甲状腺の超音波検査を行ったり、甲状腺のヨウ素摂取率検査を行います。

治療

まずは内服薬の治療を、最短で2年程度続けることが大事です。
抗甲状腺薬を内服し、甲状腺ホルモンの合成を抑制することで血液中の甲状腺ホルモンを低下させます。病状に合わせて適切な量を内服することで、甲状腺ホルモンの値が2週間後ぐらいから低下し始め通常1~2ヶ月で正常範囲になると自覚症状が改善し通常の生活をおくることができるようになります。
治療効果が乏しい場合は、アイソトープ療法(放射性ヨウ素内服療法)や手術療法を行います。
<抗甲状腺薬内服中の注意点>
特に重要な副作用として無顆粒球症が挙げられます。白血球が減少し、身体の免疫力が低下してしまうため 40℃の高熱や激しい喉の痛みが起きます。

服用中に高熱が出た場合には、ただちに病院を受診してください。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎とは?

甲状腺に炎症がおき、甲状腺の痛みや発熱がおきます。30~40歳代の女性に多いといわれています。

症状

首に強い痛みが生じます。
痛い場所が、少しずつ移動することもあります。
  • 炎症による症状
    甲状腺の痛みや腫れ、発熱
  • 甲状腺ホルモンによる症状
    炎症により細胞が破壊され、甲状腺内に貯蓄されていた甲状腺ホルモンが血中に出てきてしまいます。そのため、血中の甲状腺ホルモン値が上昇し、甲状腺機能亢進症の症状が現れます。
    その後、甲状腺ホルモンは減少し、次第に正常化します。

診断

血液検査で炎症反応が上昇したり、甲状腺ホルモン値が上昇します。 超音波検査では、甲状腺の腫れや炎症がみられます。

治療

自然に改善することがほとんどです。症状がひどいときはステロイドを使用するなど、状態に合わせて対症療法を行います。

 

甲状腺機能低下症とは?

血中の甲状腺ホルモンが減少することで、様々な症状が出現します。
代表的な原因に、橋本病や甲状腺の治療後が挙げられます。
分類
甲状腺に原因がある場合 橋本病、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)、 甲状腺治療後(手術、アイソトープ療法)
それ以外の場合 下垂体機能低下症
主な症状
甲状腺ホルモンは元気がでるホルモン(新陳代謝を司るホルモン)なので、長期にわたり不足すると様々な症状が現れます。
まぶたや顔が浮腫んだり、皮膚が乾燥してカサカサします。 寒さに弱くなったり、集中力が低下することもあります。

橋本病

橋本病とは?

甲状腺に慢性的な炎症が生じている状態で、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。 30~40歳代の女性に多いといわれています。 自己免疫の異常が原因で発症するのですが、橋本病では甲状腺機能が低下する場合としない場合があり症状が出てくるのは、甲状腺ホルモンの低下がある場合だけです。

症状

甲状腺全体が腫れて大きくなる甲状腺腫が生じます。 その他、甲状腺ホルモンが低下している場合には、上記に記載した甲状腺機能低下症の症状が現れます。

診断

血液検査で甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン濃度、抗甲状腺抗体の測定を行います。超音波検査も行い、総合的に判断します。 橋本病と診断され無症状であった場合にも、甲状腺機能が変動することがあるため年1回は定期的に検査を行います。

治療

甲状腺機能に問題が無ければ治療は行わず、定期的な血液検査でフォローします。
甲状腺ホルモンが低下している場合には、甲状腺ホルモン薬の内服を行います。

 

甲状腺腫瘍とは?

甲状腺腫瘍は、大きく分けて良性・悪性に分類されます。
触診や血液検査、超音波検査、細胞診検査やCT検査、アイソトープ検査などを組み合わせて行い診断します。

甲状腺の良性腫瘍

甲状腺の良性腫瘍とは?

首の腫れやしこりを自覚もしくは指摘された場合や、超音波検査で発見される場合があります。(検診で見つかることも多いです)
甲状腺の機能に問題がない場合は、すぐに身体に影響があるわけではありません。
濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫、甲状腺嚢胞、機能性結節(プランマー病)などの種類があります。

診断

超音波検査と細胞診で診断します。

治療

ほとんどの場合は、すぐに治療する必要はありません。まれに大きくなる場合があるため、その場合は手術を行うことがあります。

濾胞腺腫 甲状腺の中に痛みのないしこりができます。まれに悪性の可能性があるため、画像検査や超音波検査を行い、悪性が否定できない場合には手術を行います。
甲状腺嚢胞 甲状腺の中に液体の溜まった袋状の嚢胞ができます。大きい場合には、内容物を吸引し小さくします。
腺腫様甲状腺腫 不思議な名前の腫瘍ですが、これは甲状腺の一部が『まるで腫瘍みたいに腫れている』という病気です。
機能性結節機能性結節
(プランマー病)
腫瘍が甲状腺ホルモンを独自に分泌します。ホルモン分泌が増加すると、甲状腺機能亢進症の症状が現れます。

甲状腺のがん(悪性腫瘍)

甲状腺の悪性腫瘍とは?

甲状腺がんは、女性に多く、40-50歳代に多く発症します。
甲状腺がんは大きく5つ(乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、リンパ腫)に分類されます。
9割以上を占めるのが乳頭がん・濾胞がんで、これらは進行が遅くおとなしい性格のがんです。 どのタイプの腫瘍かによって治療法や予後が大きく異なります。
甲状腺の場合は、おとなしい性格のガンがほとんどで、早期に治療を行えば10年生存率は90%以上です。しかしながら、ごく稀に進行の早いタイプの場合がありますので、しっかり検査をすることが大切です。

症状

初期の甲状腺がんは、首にしこりを触れる程度で、無症状のことがほとんどです。 がんが進行すると、声のかすれやむせなどが生じることがあります。

診断

触診や血液検査、超音波検査、細胞診検査やCT検査、アイソトープ検査などを組み合わせて診断します。

治療

がんのタイプやステージを総合的に判断し、手術療法、アイソトープ療法、放射線療法、薬物療法を併用して行います。

3.手術について

傷が小さな手術(内視鏡下甲状腺手術)って何?

内視鏡による甲状腺腫瘍(良性腫瘍+がん)摘出手術の一つです。
首の傷が目立たないのが特徴です。

甲状腺の病気は若い女性に発症することが多く、美容面に配慮した手術方法の開発が行われ、1990年代後半に開発された手術です。
2016年に良性甲状腺腺腫、バセドウ病、副甲状腺、2018年に悪性腫瘍に対して保険の適応になりました。

一般的な手術
首に6-10㎝程度の傷痕
内視鏡下甲状腺手術(VANS法)
首に5㎜の小さな傷と、鎖骨下に2.5cm程の傷痕

内視鏡下甲状腺手術は、一定の基準を満たした施設でしか行うことができない専門的なものです。
当院では年に30件近く行っており 経験豊富な甲状腺専門外科医が対応しております。

メリット
  • 襟ぐりが広い服でも鎖骨の下の傷痕は隠れるため、美容面で優れています。
  • 内視鏡で組織を大きく観察しながら手術を行うことができるため、大事な神経や副甲状腺を温存することができ、安全性も高いです。
デメリット
  • 手術時間が通常の甲状腺手術よりも長くなったり、痛みが強くなる可能性があります。

内視鏡下甲状腺手術を行うことができるかどうかは事前の十分な検討が必要ですので、詳細は担当医にご相談ください。



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